2017.02.15
本切羽という言葉、なかなか聞き慣れない言葉ですがオーダースーツには欠かせないパーツの一つです。
「本切羽」とは、手を洗う時にまくれるようにジャケットの袖口部分のボタンホールが開くような仕立てになっていることです。
一般的なスーツは、「あきみせ」といって開くようにみせる作り方をしていますので実際には開きませ ん。 なぜかというと、既成品では袖出しの補正が必要になってきますよね。 本切羽のように開く仕立てでボタンホールを開けてしまうと、袖出しの補正ができなくなってしまうのです。
ですから、オーダースーツではほとんど「本切羽」仕様で袖口部分のボタンを、実際にかけたり外したりできるのです。 オーダーメイドならではの手の込んだ仕様といえますね。
オーダースーツを作り慣れた人、あるいはオーダースーツに興味がある人は結構他人のスーツの袖口をチェックしているものなんですよ。 それは、「本切羽」かどうかをチェックしているのです。
そんな「こだわり仕立ての代名詞」とも言える「本切羽」ですが、その由来は面白いものがあるのですよ。
本切羽は「ドクタースタイル」という呼ばれ方をすることもあります。
ヨーロッパなどでは、スーツのジャケットは脱がないのがルールです。
なぜなら、シャツは下着だという概念があり、ジャケットを脱いでしまうと人前で下着姿をさらけ出しているのと同じという考えを持っているからです。 しかし、どうしても上着を脱がなければならない、せめて上着の袖をめくらなければいけないという職業の人が存在するのです。
それはお医者様。患者さんを診察する時などには、ジャケットはかなり邪魔になりますよね。
しかし、紳士というプライドもありますから、ジャケットを脱がないというルールは守りたいところ。 そこでスーツの袖をめくれるように仕立てれば解決するのではないかという考えが生まれました。 これが「本開き」という仕立てがうまれた由来という説の一つです。 なんだか妙に納得できますし、面白いですよね。
本切羽の着こなしとしては、4つあるボタンのうちわざと1~2つほどボタンを外して着ることが多いです。 そうすることで、袖口のカフスがちらっと見えて、大変おしゃれに仕上がるものですよ。
またボタンホールの糸の色を一色だけ違う色にするということをする方も少なくありません。
オーダースーツだからこその仕立てである「本切羽」、小さなことですがこうしてスーツの着こなしを楽しむのもよいですね。
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